釣りにいって川魚が釣れたら、新鮮なうちに頂きたいものです。しかし、川魚を食べたいと思っても「本当に大丈夫かな…」と心配することはないでしょうか。

実は、川魚に限らず、魚全般に注意しなければならないこととして「寄生虫」によるリスクがあります。

寄生虫を誤食しないために、正しい知識をもつようにしましょう。今回は、川魚に見られる寄生虫の種類と注意点をご紹介します。

顎口虫(がっこうちゅう)

川魚である淡水魚には、人間の体に害のある寄生虫がいます。まずは、「顎口虫(がっこうちゅう)」です。

顎口虫は、0.6〜4mm程度の線虫です。特に有害なのは、剛棘顎口虫と日本顎口虫と言われています(※1)。

イヌやネコ、イタチ等を宿主とする寄生虫なので、人間の体を好んで寄生するわけではありませんが、万一幼虫に寄生されると顎口虫症を発症します(※2)。

顎口虫症を発症する主な原因は、ヤマメやドジョウなどの淡水魚を生食してしまい、誤って顎口虫の幼虫を体内に入れてしまうためです。

顎口虫は人間の体内に入ると、幼虫の移動に伴い、皮膚の腫脹やみみずばれ等が起こります。有棘顎口虫は、時には、内臓や脳などに迷入することもあるそうです(※1)。

この記事の下部に、顎口虫等の寄生虫を予防する方法、退治する方法をまとめていますので、ご覧ください。

参考

※1「顎口虫(Gnathostomaspp.)線虫類」『食品衛生の窓』東京都保健福祉局

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/08.html

※2「淡水魚介類から感染する寄生虫」『森林科学55』西山利正・三島伸介、2009年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/55/0/55_KJ00005423391/_pdf

肝吸虫(かんきゅうちゅう)

肝吸虫は、人などの哺乳類に寄生する虫です。体長は10〜20mmで、ウグイやフナ、コイなどコイ科の淡水魚を生で食べると寄生する場合があります(※2)。

体に寄生すると肝吸虫症(肝ジストマ症ともいいます)となり、重症化してしまうと肝硬変を引き起こすこともあるようです。少数の感染では、ほとんど症状は無いのですが、慢性的に総胆管に炎症を引き起こすために、総胆管癌につながる場合もあり要注意です(※2)。

横川吸虫(よこかわきゅうちゅう)

横川吸虫は、洋梨形で体長1~2mmの小さな寄生虫です。アユなどに肉眼では見えない幼虫(メタセルカリア)の形で寄生します。

横川吸虫は、成虫になると人の小腸粘膜に寄生します。多数が寄生してしまうと、刺激により腹痛や下痢などの症状が見られることがありますが、少数の場合は自覚症状はほとんどないようです(※1)

アユやフナ、ウグイ、シラウオ等の淡水魚に寄生することが多いので意識しておきましょう。

【肺吸虫(はいきゅうちゅう)】

有名な肺吸虫として、「ウェステルマン肺吸虫」と「宮崎肺吸虫」があります。

ウェステルマン肺吸虫は、体長が7~16mm、宮崎肺吸虫は体長が7~8mmほどの成虫です(※1)。

ウェステルマン肺吸虫は、主に肺に寄生することが多く、脳、胸腔、腹腔等に寄生することもあるようです。サワガニやモクズガニから感染するので注意しましょう。

宮崎肺吸虫は、一般的に幼虫移行期に腹腔を経由して肺に侵入しようと胸腔に入り炎症を起こします。これにより、胸痛や胸水貯留、気胸などの症状が出ることがあるようです(※2)。

【アニサキス】

アニサキスは認知度があがっているので、ご存知の方もいるかもしれません。アニサキスは体長2~3cm位の幼虫で、比較的大きな個体です。

主に内臓の表面に寄生しますが、筋肉にも寄生します。サケやマスでは腹部の筋肉内に多く見られると言われています(※1)。

アニサキスは、人体に入ってしまうと成虫になれないので、通常は排泄されます。ただし、魚を生で食べたとき、まれに人間の胃や腸壁に侵入し、激しい腹痛を生じさせることがあります。吐き気やおう吐、蕁麻疹などの症状を伴う場合もあるので、症状が出たら病院を受診することがすすめられています(※1)。

川魚の寄生虫 予防法と退治法はこれだ!

魚は自然界に住む生き物なので、寄生虫と無縁というわけにはいきません。寄生虫を誤って食べてしまわないように、予防法と退治法を理解しておきましょう。

寄生虫の予防法

寄生虫の誤食を予防するために有効な方法があります(※1、※2)。

<1>野生の川魚は生で食べない!

まずは、「川魚は生で食べない」という意識が大事です。管理された釣り場などで釣った魚は生食できる場合がありますが、野生の魚は生で食べないようにしましょう。

釣り場で釣った際にも、生食できるかどうかを管理人に尋ねると安心です。

<2>調理器具は清潔に!

家庭で生肉や生魚の調理をする際には、使った包丁やまな板はよく洗いますよね。そうしないと、同じ調理器具を使用することで他の食材に細菌が感染することがあるからです。これは、釣り場や自然のなかでも同じこと。処理を行った調理器具は徹底して洗浄や消毒をして清潔を保つように心がけてください。

<3>調味料の効果を信じすぎない

昔は、“刺身に醤油をつけると殺菌できる”“お酢をかければ除菌できる”と言われたものです。しかし、寄生虫のなかには調味料の殺菌が効かないものもいます。調味料の効果を信じすぎないようにしましょう。

寄生虫の退治法

次に、寄生虫を退治する方法をみていきましょう(※1、※2)。

<1>加熱をしっかり

寄生虫は熱に弱いので、しっかり加熱するのが一番と言われています。釣った魚は十分に加熱して食べてください。燻製にしてもよいと思います。

<2>冷凍も効果的

寄生虫は、マイナス20℃で24時間以上(中心部まで)凍結すると死滅すると言われています。しっかり冷凍することで、保存期間も長くなり、寄生虫も退治できたら一石二鳥ですね。

今回は、川魚に見られる寄生虫の話をしてきました。

一般的に、養殖の魚は環境や餌で寄生虫対策がとられているので、安心感が高いと思います。渓流食堂でご提供している川魚も、冷凍や加工技術をもって、寄生虫対策を万全にしています。ご不安やご心配がある場合は、いつでもご相談くださいね。