近年、若者の魚離れ、子どもの魚離れが進んでいると言われています。これは、川魚に限ったことではなく、海魚も含めて全般的に言えることです。以前は、肉よりも魚の摂取量が多かったのですが、平成18年には肉の摂取量が逆転しているのも事実です。(※1)

この魚離れ、子ども側の要因としては、「骨がある」「食べるのが面倒」という理由が大半を占めています。一方で、魚の脂に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸) といった機能性成分が、胎児や子どもの脳の発育に重要な役割を果たすことが分かってきています(※1)。魚離れは子どもの健全な発育にも影響を及ぼしかねないので、ぜひ魚を好きになってもらいたいものです。

そこでおすすめしたいのが、子どもとの渓流釣りです。

自分で魚を釣る、命を頂くという過程を通じて食育にもなりますし、自然の中で釣りを楽しめることができれば最高の体験になります。

今回は、子どもと楽しむ渓流釣りについて、おさえておくべきポイントをお伝えします。

参考

※1「平成20年度水産白書」、水産庁http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h20/pdf/h_1_2_1.pdf

渓流釣りとは?

“釣り”と一言で言っても、様々なタイプの釣りがあります。

釣りは、川や海、池や釣り堀などで、それぞれの環境に住む魚を季節によって捕らえる(フィッシングする)ものです。

渓流釣りとは、山間部や川で魚を釣るフィッシングスタイルになります。代表的な魚は、イワナやヤマメ、ニジマスなどが挙げられます。

釣りの種類も様々あり、餌で釣ったり、ルアーやフライを使ったり、ときに手でつかんでとる方法もあります。

管理されていない自然の中で行う渓流釣りは、春から秋にかけてが主流の時期です。管理されている釣り場であれば一年中釣りを楽しむことができる場所もあります。

渓流釣りでおさえておくべきポイント

自然の中で釣りを楽しむことができる渓流釣りですが、子どもを連れていく場合はおさえておくべきポイントがあります。釣り初心者のパパやママは参考にしてみてください。

【1】釣りをしてよい場所か? OKな期間なのか?

川は多くの場合、地元の漁業協同組合が管理しています。川によっては、釣りが禁止されている場所もありますし、釣りをしてはいけない禁漁期間が設定されている場合があります。「遊漁券」という券を購入しなければいけない釣り場もあります。

まず大前提として選んだ釣り場について、一般人が釣りをしてよい場所なのか、また釣りをしてよい期間なのかを確認することが大事です。

渓流釣りに出かけるときは、行く前に川の情報と釣りができるかを確認しておきましょう。

【2】川の危険性を事前に親子で学ぶ

子どもは川遊びや沢遊びが大好きです。遊びを堪能するためにも、親子共に川の危険性を十分に認識しておくことが大切になります。水難事故は後を絶たないので事前に学んでおきましょう。

川には、大きさの違う石や岩、流木といった自然のものだけでなく、ビンや缶、ガラス破片なども多数存在します。安全のために、できるだけ靴を履くようにしてください。

また同じ石でも、川底にある石にはコケが生えてつるつると滑りやすかったりしますし、浅瀬だと思っていても、急に足がつかないほど深くなる「淵」にも注意が必要です。

さらに、川は流れが様々で、急激に速いところもあれば、うずを巻いているような場所もあります。子どもであれば、強い流れに足をとられ流される危険は常に考えておくべきです。特に、遊んでいるその場所が晴れていても、前日の雨で増水していたり、水が濁りだす、落ち葉や流木などが流れてくる…といった状況があれば、上流の方で雨が降っている可能性もあります。そうすると、流れてきた雨水で、一気に増水したり、流れが急速になることも珍しくありませんので、注意深く状況を判断しましょう。

【3】釣り竿の「針」は慎重に扱うことを教える

釣り竿の先端についている「針」が危険だということ自体は、幼稚園くらいの子どもになるとはっきり認識できます。

むやみに針を触ったり、魚が釣れたからといって興奮して釣り針からとろうとすると自分の手を傷つけることになりかねません。このように自分が痛い思いをするリスクは子どもが理解しやすいのですが、加えて他人に危害を及ぼすリスクも教えてください。

まわりにいる人のことを考えずに釣竿を振り回したりすると、他人の体などにひっかかりケガをさせてしまう場合があります。

【4】万一の事態に備えて安全対策をしておく

渓流釣りは、釣りの醍醐味を味わえるだけでなく、大自然を感じる楽しみもあります。大人もついつい熱中してしまいがちですが、子連れの場合は子どもから目を離さないようにしてください。

子どもの動きは予想できないことも多く、一瞬目を離したすきに川に落ちた、流されたということになりかねません。万一に備えて、家族全員ライフジャケットを着用するのがおすすめです。靴も、サンダルや草履では脱げてしまうことがあるので、フィット感のあるウォーターシューズやマリンシューズのようなものが好ましいといえます。

できればラッシュガードもあると便利です。日焼け防止だけでなく、岩場や木々にぶつかったときに肌を守ってくれる効果もあります。

「命を頂く」子どもが得る貴重な体験

日頃は水族館や図鑑、本でばかり魚を見ている子どもたち。釣りに出かけることで、実際に川で泳ぐ生きた魚を見て、捕まえるという貴重な体験ができます。

実際の体験を通じて、魚を釣る・触る等の感動は大きく、五感をフル活用できる印象深いものになるでしょう。

家族や友達と一緒であれば、家族との団らんや友達との語らいすべてが楽しかった思い出になります。

ぜひこの貴重な体験の際には、「命を頂く」無駄にしないということを教えてあげましょう。

釣った魚を食べる・食べないは家庭の方針にもよります。

釣った魚を食べるなら「キャッチ アンド イート」、鑑賞して元の場所に戻してあげるなら「キャッチ アンドリリース」として、大事な命を無駄にしないように徹底したいものです。

単に釣れた、釣れなかっただけで終わらせるのではなく、生きているものを捕まえることの意味、釣った魚を食べるならその尊さも、実際に伝えていくとよいでしょう。

本来、自分で釣った魚は、本当に美味しいものです。周囲の大人が子どもの挑戦を認め、得られた魚に感謝し、親子で命を美味しく頂く心がけがあれば、食育としては大成功です。

子連れの渓流釣りは“無理なく安全に”

いかがでしたか?

はじめは魚に触れることもできない、魚が怖いという子も多いです。

しかし、生きている魚の顔や体を見ているうちに、ちょっと触れてみる、つかめるようになるという具合に、段階的に興味関心が高まるのが普通です。

きっと、大きくなったときに、釣りの経験を生かし自然を大切にする心が育っていくことと思います。

子どもが小さいうちは無理して山奥まで行かなくても、釣り堀や管理された川の区域などレジャー施設を活用するのもよいです。レンタルもあるので釣り道具はそろえなくても大丈夫。子連れの渓流釣りは“無理なく安全に”楽しむことを優先してくださいね!